【ゆよゆっぺ】シンガーソングライタ
ーとしてのデビュー作! 浮かび上が
る過去と現在の実像とは?

ボカロP、DJ、バンド、BABYMETAL等への作品提供で幅広く活躍している、ゆよゆっぺがシンガーソングライターとしてデビュー! 温かいアコースティックサウンドで仕上げられたアルバムについて、本人に語ってもらった。
取材:田中 大

シンガーソングライターとしては初の作品ですね。

はい。去年の春くらいに“アコースティックとかやりたいですね”って何となく言ったら、周りのスタッフが“やったらいいんじゃない?”と。だから、“分かりました”と(笑)。そして、そのあとにテーマについての会議があったんです。話し合う中で、“ゆとりなんで、あんまり本気になれないんですよね”みたいなことを僕が言ったことで、テーマは“ゆとり”でいいんじゃないかっていうことになりました。

書下ろしの新曲の「ゆとり」と「本気になれない」は、そのテーマ設定から生まれたのですね。

そうです。まず、「ゆとり」という曲を書き下ろして1曲目にすることにしたんですけど、それだけだと面白くない。だったら、「だから」というセルフカバーを2曲目に置いて、「本気になれない」という曲も作ってしまおうと。その結果、“ゆとりだから本気になれない”というアルバムになりました(笑)。僕、こういう成り行きみたいなことが多いんですよ。

“これだからゆとり世代は”みたいなこと、言われた経験は結構あります?

あります。そういうことを言われるのは、ちゃんとできていない自分が悪いんでしょうけど(笑)。とはいえ、レッテルを貼られるのって、なんかモヤモヤするじゃないですか。“ゆとり教育という制度だったはずなのに、何で僕たちをバカにする呼び方として使われているのか?”とも思うし。実は、今作のDVD特典を作るにあたって昔の担任の先生に会いに行ったんです。そこで、“ゆとりっていうのは個性なんだよ。僕はその時代時代の子供の個性を見てきた”と言ってもらえたことによって、このアルバムは個性的なものでいいんだと再確認できました。モヤモヤした感覚と“個性的ということだからいいじゃん”っていう両方を抱えながら聴いていただけるアルバムになっているのかもしれないです。

例えば、5月病を描いた「めいめろ」とかもそうですけど、“モヤモヤ感”って、ゆよゆっぺさんが作る曲が色濃く持っている部分じゃないでしょうか?

そうかもしれないです。ひとつのことを目指すにしても“あれ?何を目指してたんだっけ?”ってなることはよくありますから。でも、それは立ち止まってじっくり考える時間にもなっているのかなと思ってます。じっくり考えながらとらえたものは、矛盾した言い方ですけど、“鮮明なモヤモヤ”っていう感じなんですかね。そういう生粋のモヤモヤというものも、このCDに落とせてると思います。

歌詞だけではなくて、サウンド面でもいろいろ感じてもらえる作品だと思います。

そこも感じていただけたら嬉しいです。サウンドの展開や雰囲気も含めて、全部言いたいこととリンクしていますから。例えば、「本気になれない」の最後にちょっと空白があるのも理由があるんですよ。あの空白が、僕が悩んでいる時間なんです。1曲全体を人生ととらえるならば、あの空白というのはとても大きな時間ですからね。そして、そのあとに続くアウトロで、リスナー各々の答えを導き出してほしいです。

空白部分の印象は、リスナーによってまちまちかも。

空白を長いと感じる人はとことん悩む人かもしれないし、短いと感じる人はどんどん決断して進みたい人なのかも。いろんな受け取り方をしてほしいです。ひとりひとりに印象を訊いたら面白いでしょうね。

なるほど。あと、今回セルフカバーをしたことで、過去の自分と向き合う感覚にもなったのでは?

めちゃくちゃ恥ずかしいんですよ(笑)。今の自分だったら絶対にしない表現とかありますし。でも、それも僕が生きてきた道筋なので、残しておこうと思いました。このアルバムは当時の僕から今の僕へ投げかけているものと、今の僕から過去の自分へ投げかけているものとがぶつかり合っているんですよね。作りながら昔のこともいろいろ思い出しました。地元(茨城)のWonderGOOから全ての情報を得ていて、すごくお世話になっていたこととか、レンタルで延滞したこととか。“当時は、ありがとうございました”と、この場を借りて伝えさせてください(笑)。

(笑)。たくさんの曲を投稿したニコニコ動画の現在に関しては、何か思うところはあります?

かなり変わってしまったなと思います。昔は面白がって、面白いと思ったものを素直に投稿する場だったんですけど、今は再生数を伸ばしたり、叩かれないようにすることばかりを考えるようになっている気がして。まぁ、いろいろ言いすぎると老害のようになってしまうんですが(笑)。感動したり泣いたり笑ったりするのがダサいって考えが、ニコニコ動画のシーンに限らず、多くなっているのかも。僕らよりも若い人たちは“さとり世代”と言うらしいですが。

その世代が、今度は“さとりだから感情を出せない”っていうアルバムを作るかもしれないですよ。

それは僕の2枚目かも(笑)。あるいは、僕の弟で“ゆよゆっぱ”っていうやつも音楽をやっているんですけど、彼に作らせるかもしれないです。出してくれたら本望だなぁ(笑)。

(笑)。では、何か最後におっしゃっておきたいことはありますか?

細部までこだわって考えて作っていますので、とりあえず聴き流さないで、歌詞もじっくり読みながら聴いていただききたいです。“何でこうなったんだろう?”って想像しながら聴いてもらって、何か気付いたり感じたりしたら、Twitterで呟いたりしてくれたら嬉しいです。それが僕の音楽への糧になると思います。そして、今後も僕はいろいろやると思いますけど、その時にやりたいと感じたことを正直に、やりたいだけやっていきたいです。
『ゆとりだから本気になれない』2016年10月26日発売ヤマハミュージックコミュニケーションズ
    • 【初回盤(DVD付)】
    • YCCW-10290/B 3024円
    • 【通常盤】
    • YCCW-10291 2484円
ゆよゆっぺ プロフィール

ゆよゆっぺ:平成元年生まれ。茨城県大洗町出身。地元茨城にてバンドを結成したのち、ボーカロイドプロデューサーとしてのクリエイター活動を開始。 2012年にVOCALOID RECORDS(YMC)よりボカロPとしてメジャーデビューすると、16年春にはavexからDJ’TEKINA//SOMETHING名義でメジャーデビューし、今秋にはゆよゆっぺ名義でシンガーソングライターとして都合3度目のメジャーデビューを果たす。ゆよゆっぺ オフィシャルHP

OKMusic編集部

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