【Suara】『うたわれるもの』の歴史
はSuaraの歴史の一部

Suaraがデビュー以来主題歌を担当し、ゲームにアニメと幅広いメディア展開を果たしてきた『うたわれるもの』シリーズの楽曲を網羅したアルバムが到着。壮大で人の世の真理に深く斬り込んだ物語を、澄んだ歌声がやさしく、力強く紐解いていく。
取材:清水素子

『うたわれるもの 偽りの仮面&二人の白皇 歌集』は昨年と今年に発表されたゲーム『うたわれるもの』シリーズの2作品と、派生のTVアニメで使用された楽曲を全収録ということで、ある種サントラ的な作品になっていますよね。

そうなんですよ。私自身“サントラが出るから”と聞いていて、蓋を開けてみたら私の曲ばっかりだったという(笑)。特に今年出た『二人の白皇』は、かなり挿入歌が多くて! すでにゲームをクリアーした方の感想で、“最後はSuara祭りだった”と言われたくらいです。

挿入歌のうち2曲は以前『うたわれるもの』シリーズで使われた楽曲のセルフカバーとなっていますが、久々にレコーディングしてみていかがでした?

もちろん以前のテイクよりも成長した部分を見せたいというのが第一だったんですけど、「キミガタメ 2016」に関してはプロデューサーから“今までライヴで重ねてきたもの、年輪が感じられる歌にしてほしい”と言われたので、お客さんと一緒のライヴでしか生み出せない空気感を込められるように歌いました。ライヴでは客席の“待ってました!”っていう想いが伝わってくる特別な曲で、“この曲だけは失敗できない!”っていうプレッシャーを毎度感じるんですよね。「夢想歌 2016」もよりやさしく、子守歌のように包み込むような歌を意識して歌いました。

その最終章の主題歌である「星灯」は、軽快さとスケール感を併せ持った心地良いナンバーですね。

初期の『うたわれるもの』で感じられる哀愁や、「夢想歌」の純粋無垢な気持ちに、昨年の『偽りの仮面』にあった派手さや疾走感だったり、歴代の要素が全部合わさったような、まさに『うたわれるもの』を音楽面でも集大成したような楽曲だと思います。作詞・作曲・編曲の作家陣は「夢想歌」と同じ顔ぶれですし…ただ、タイトルは私が付けさせてもらいました。歌詞の中に《光放つ星》という言葉が出てくるので、星の灯が未来を照らして導いてくれるという意味で“星灯(ひかり)”と。エンディング曲の「麗しき世界」のほうは、魂が天に昇っていくような壮大感があったので、透明感を意識して、もう無になった感覚でマイクに向かいました。

なのに、タイトルは“麗しき世界”と一種鮮やかな印象を与える言葉が使われているのが興味深いなと。

私が思うに、神が用意した無の世界に、いろんな運命を背負って生まれたひとりひとりが色を付け、絡み合って生きていくのが人間世界だなぁと。だから、歌うにあたっては抑揚も意識しましたし、大サビでは“小人の妖精が踊っているように”というディレクションもあったので、小人というこの世の者ざる存在が人の運命を弄んでいるような情景をイメージしました。

なるほど。神が司る自然界があり、そこで意志を持って生き抜こうとする人間を、時に神の手が弄ぶというのは、『うたわれるもの』自体の世界観にも通じますよね。

だから、サビの《抗うもの》というフレーズにもグッときましたし、そもそも“なぜ神は自らに抗う人間をわざわざ作って、その人間同士を争わせるんだろう?”っていう疑問は、昨年のTVアニメ版『偽りの仮面』を観ていても、強く感じたんです。本当に『うたわれるもの』って深い作品だから、単なるファンタジーではなく、現実世界にも重ね合わせて、いろいろと考えさせられるんですね。楽曲も同じなんですよ。私自身いろんな歓びや悲しみを持ちつつ生きているわけで、そういったひとりの人間としての深い想いを常に持って歌わなければ、これだけの大きな世界は表現できない。なので、12月19日にCLUB CITTA'川崎で行なわれる『うたわれるものSUPER LIVE 2016』にも、全力で臨んでいきたいですね。

このライヴでは『うたわれるもの』シリーズの楽曲を全曲披露すると聞きましたが。

はい! そのために『うたわれるもの』では欠かせないキャストの小山剛志さんと柚木涼香さんにもゲストに出ていただくんですよ。『うたわれるもの』の曲だけでライヴができるというのもすごいことですし、ほんとに後にも先にも一度きりかもしれないライヴですから、今からとても楽しみです!

その点、今作の初回限定盤付属のSpecial Discには、収録曲以外でSuaraさんが担当している『うたわれるもの』楽曲も収められていますし、ライヴの予習には最適ですね。

シリーズの楽曲全てがひとつの作品として収録されるというのは当然嬉しいことですし、『うたわれるもの』の歴史はSuaraの歴史の一部でもあるので、こうやって1作品に収まるのはとても光栄です。

そんな大切な作品が最終章ということで、正直寂しい想いもあります?

そうですね。TVアニメの第一期主題歌だった「夢想歌」を歌った時に、“いずれ続編があるから”と言われて、そこでも主題歌を歌いたいなぁと願い続けて、やっと叶ったのが9年後の去年で。なので、ここで“完結です”と言われると、これから何に希望を持てばいいのか?という想いはあるんですけど(笑)、もちろん9年の間には他の作品との出会いもあって、そのたび全力で挑ませていただきましたから。今後もいただいた楽曲をどう歌うか?というチャレンジを重ねて、自分の中に新たな引き出しを作り、ライヴにフィードバックしていけたらなと。その先に、夢のまた夢なんですけど、日本武道館ライヴだったりとか、そうやってファンのみんなと一緒に目指せる夢や目標を持てたら嬉しいです。
『うたわれるもの 偽りの仮面&二人の白皇 歌集』2016年11月09日発売F.I.X. RECORDS/KING RECORDS
    • 【初回限定盤(Special Disc付)】
    • KIGA-90029 4104円
    • 【通常盤】
    • KIGA-29 3240円
Suara プロフィール

スアラ:学生時代からバンド/ユニットを組み、精力的にライヴ活動を行なう。2005年9月に「睡蓮-あまねく花-」でデビュー。TVアニメ『ToHeart2』のエンディングテーマ「トモシビ」、同じくTVアニメ『うたわれるもの』のオープニングテーマ「夢想歌」を歌うなど、その歌声がアニメ・ゲームファンをはじめとする広い層に届き、注目を集める。10年から香港・韓国などでライヴを行ない、11年10月には韓国でもCDを発売するなど、ワールドワイドな広がりをみせている。“Suara”とはインドネシア語で“声”を意味する。Suara オフィシャルHP

OKMusic編集部

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