L→R maya(Vo)、Aiji(Gu)

L→R maya(Vo)、Aiji(Gu)

新鮮さが随所で表れながら、実のところ核心はまったく揺るがない。多彩なポップチューンを生み出してきたLM.Cが放つ新作『VEDA』は、“問題作”のような顔つきをしつつ、彼らの一貫した哲学が力強いメッセージで集約されている。
取材:土屋京輔

今回の『VEDA』は、まずビジュアル面やタイトルに驚かされますが、実際に聴くとまた別の驚きもありますね。しかしながら、新たな代表作と言われるアルバムになるかもしれない。制作に向けては、どんな考えがあったのでしょう?

maya
結果的に仏教モチーフになりましたね。当初から掲げていたテーマではなく、アルバムの制作自体は2年近く前から取り掛かっていて、その中で見つけたもので。個人的には3~4年前かなぁ。仏教に興味を持ち始めたんですよ。

それは何かきっかけがあったのですか?

maya
LM.Cは音楽というより、個人的にバンドをやりたい気持ちで始まったところもあったんですけど、いわゆるバンドの形態にはならずに自分が歌うことになった。だから、当時は発信したいメッセージは特にないという言い方をしてたと思うんですね。ないというよりは、よく分からなかったというほうが正しいのかな。そんなスタートから活動を重ねるにつれて、“言いたいことがあるとするならば、きっとこういうことかな”というのが見えてきたんですよ。それで5周年を迎える前後で、それは宇宙であり、地球であり、人類っていう歴史の中で、きっと誰かが何かしらのかたちとして残してるんじゃないかなと思って、自分の思想と重なる人探しみたいなのを始めたんです。結果、それは日本人の身近にある原始仏教だったという。“教え”というより、“真理”だと思うんですけど、当たり前のことを思い起こさせてくれるものということで。そこが始まりと言えば始まりですけど、その時も何かをテーマにするということまで考えていたわけではないんですよ。

そのテーマがこのタイミングで具体化したわけは?

maya
そこも意識的なものではないんですよ。最初はそれまでにあったストックの中から制作をしてたし。ただ、10周年が見えてきて、シングルを出すのか、アルバムなのかみたいな話をしていた頃に、“仏陀”というテーマ、タイトルで曲を作りたいなというところに至ったんですかねぇ。だから、そこも何となくなんですよ。曲単体で思い付いたものでしたし。2015年の秋かな。それきっかけでアルバムの方向が決まった感じはありましたけど、例えば「阿修羅」はもう何年も前からあって、すでに仏教に通じるものは生まれてはいたんです。そんな中でいろんなことが整理されて、まとまったかなという気はしますね。
Aiji
テーマとしては突き抜けているほうがいいし、いいところに落ち着いた感じはしてるんですけど、実はLM.Cなりの宇宙観だったり、哲学を収めた曼荼羅がジャケットの作品をいつか出したいというのは、それこそ5年ぐらい前から思ってたんですよ。10周年みたいな節目にそういうタイミングがたまたま重なったのも、また何かキリがいいなとは思いましたね。

だとすれば、ミュージックビデオの監督は、鬼才として知られる近藤廣行さんを起用すべきだろうと(笑)。

Aiji
そうですね(笑)。それも12年ぐらい前に遡るんですけど、最初にLM.Cというプロジェクトを動かそうとなった時に、近藤さんもそうだし、今回のジャケットを担当してくれているデザイナーも含め、みんな出会っていて、打ち合わせまでしてたんですよ。その時はいろいろあって流れちゃったんだけど、ひと周りしてまた巡ってきたっていう。ただ、無理やりそこに落とし込もうみたいな気分ではなくて…まぁ、LM.Cは今までも自然の成り行きで生きてきたところはあるんですけど(笑)、作品全体だったりアートワーク周りの人選など、一番ベストなチョイスができてるなと思いますね。

本作はLM.Cの特徴のひとつであるポップさに今回のテーマに準じたオリエンタルな要素を交えながら、原点とも言えるバンドサウンドも強く押し出されていますよね。

Aiji
そこもあまり意識はしてないんですよ。自然と導かれるままに、今、これをかたちにしてみたいなと思ってデモを作って選んだ楽曲が、そういう傾向が強かったんですかね。

なるほど。では、mayaくんが書き下ろした「The BUDDHA」を最初に聴いた時はどのように感じました?

Aiji
すぐにアルバムの1曲目にしようと思いましたね。いつかやりたいと思っていた曼荼羅のジャケットもいけるなっていうのもあるし、トータル的に見てもキャッチーさとかスピード感もすごくある曲なので。導入がいきなりオリエンタルなムード満載ですけど(笑)、始まりを予感させる雰囲気もあるし、この曲で良かったなって思いますね。

ええ。だからこそ、最初に耳にした時は“LM.Cはどこへ行くんだ!?”と思いましたもん(笑)。改めて冷静にアルバム全編を聴けば、“あぁ、なるほど。どこにも行かなかったな”と頷かされることになるんですけど(笑)。

Aiji
どこも行かないですね(笑)。ほんとに良い意味で、地に足が着いたというか、背伸びもすることなく、この作品を作れたんですね。これが2ndアルバムとかだったら、相当に無理をしないと、ここまで振り切れなかったと思うんですよ。
maya
ターニングポイントと言うほど派手なものじゃないけど、こんなに心からドキドキできる曲が、10年経っても作れるんだなって。歌詞も特に仏教を掘り下げたわけではないし、運命論とかも一緒で、何を歌うのかと言えば、人生には恋愛もあり、生活もあり、宗教もあって…業みたいなものからは逃れられない。その意味では大枠は全曲一緒ですし、極論に達してはいると思いますね、生きて死んでいくということでは。結果的にシングル曲の「MONROEwalk」も「レインメーカー」も、このアルバムの中に入ることで、また違った観点から腑に落ちる気はしてるんですよ。
Aiji
LM.Cのやってきた、言ってきた哲学みたいなものが変わらずに貫かれているからこそ、“VEDA”というタイトルも合ってるというかね。聴いてくれた人が“明日も頑張って生きよう”と思える“聖典”になってくれたらいいですね。
『VEDA』2016年12月21日発売CJビクターエンタテインメント
    • 【通常盤】
    • VBCJ-60006 3240円
    • 【完全生産限定盤(2CD+Blu-ray+DVD+スペシャルブックレット)】
    • VBZJ-34 15660円
    • ※アナログLPサイズ3Dジャケット豪華BOX仕様
LM.C プロフィール

エルエムシー:2006年10月に1stシングル「Trailers【Gold】」「Trailers【Silver】」でデビューした、Aijiとmayaのふたりからなるロックユニット。ビジュアル系バンドが出自である彼らだが、その音楽性はビジュアル系ロックパブリックイメージから解き放たれた、あくまでもポップで自由なもの。へヴィなギターリフやラップ、EDMなど、ビジュアル系という枠にとらわれないさまざまな音楽要素が混在した音楽性が彼らの持ち味である。LM.C オフィシャルHP

OKMusic編集部

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