【Bentham】手応えは申し分ない。そ
れを信じてリアクションを待つだけ
2014年にKEYTALKのサポートアクトを務めて以来、ライヴシーンで頭角を現してきたBenthamがいよいよメジャーデビュー! 両A面シングル「激しい雨/ファンファーレ」には新たなスタートを印象付ける4曲が収録されている。
取材:山口智男
いよいよメジャーデビューですね!
小関
はい。でも、曲をいっぱい作って、ライヴをいっぱいやってという意味ではこれまでと変わらない。ただ、その中で今までできなかったことができるかもしれないってなってきました。だから、これまで以上に自分たちがどうしたいのかきちんと考えなきゃいけない。今まではスキルを上げることに精いっぱいだったんですけど、それよりも上を目指す段階にきているんだと思います。
じゃあ、今回のシングルも明確なイメージのもとに作っていったのですね?
小関
僕らが得意としていることを軸にぶれずにやろうということと、パンチの効いた一枚にしようということを考えて今回の4曲になったんですけど、本当にいい曲が揃ったからダブルAサイドにもなりました。手応えとしては申し分ない。あとは、それを信じてリアクションを待つだけです。
辻
自分たちらしさがギュッと凝縮された4曲になりました。
「激しい雨」の歌詞からは、歌詞を書いた小関さんの悔しさや、そこから巻き返したいという想いが伝わってきました。
小関
目標を達成できないとか、結果が出せないとか…そんな時はヴォーカルである自分の力不足だと思ったこともありましたし、プロフェッショナルに徹するのか、アーティスティックにやりたいのか、そのバランスの中で葛藤したこともありました。ただ、辞めるという選択肢は僕の中にはなかった。だから、やるしかないって。そうはっきりと思えたのは前作のEP『ExP』をリリースしてからなんです。自分たちがやりたくてやっているんだから、そんなに怖がる必要はないと思ったら道が開けてきた。それと同時にゴールはまだまだ先だと思えて、「激しい雨」の歌詞ができました。《いつか晴れるように》と歌っているのは、これからも絶対に厳しいことはあると思うからで。何なら僕らが激しい雨になって、ヌルッとした状況に喝を入れたいという気持ちもあります。
そんな気持ちが込められているから、今までにないぐらいエモい曲になっているのですね。
鈴木
そういうエモいところがありながらもBメロの《HEY!! HEY!!》というシンガロングパートがあるところがいい。ライヴで盛り上がる光景が見えるんですよ。
小関
作った時はリズムも今とは違って、ライヴでやることを意識した、もっとくどい感じだったんです(笑)。だから、シングルに選ばれるとは思ってなかったんですけど、サビがいいよねって話から“これでメジャーデビューするぞ!”っていう意識共有ができて、今のアレンジに変わっていきました。ライヴ感を残しながら、より多くの人に聴いてもらうにはどういうアレンジにしたらいいかを全員で考えていったんです。
辻
サビメロが良かった。デモの時から癖になる感じがあったんですよね。
そう言えば、今回、音が格段によくなりましたよね。
須田
メンバーそれぞれにテックさんが付いたんです。もちろん、どういう音にしたいかは自分たちで考えるんですけど、“こういう音にしたい”と言うとテックさんが“これはどう? これは?”って選択肢を出してくれるんですよ。そこでさらに突き詰めた音作りができたことが大きかった。ドラムもそうだよね。リズム隊から録り始めるから僕は待ち時間が一番長いんですけど、音作りしながらドラムの音がどんどん曲にマッチしていくのが楽しかったです(笑)。
鈴木
今回は具体的に…それこそ“フー・ファイターズみたいな音で”とお願いしたら(笑)、自分のイメージに近いものになったのですごく満足しています。
2曲目の「ファンファーレ」は疾走感があるエモい曲なんですけど、コーラスを加えることで「激しい雨」とは違ってやわらかい印象になりましたね。
小関
応援してきてくれた人とか、これから増えるに違いないファンをイメージした時、みんなで歌いたかったんですよ。曲はもともとあったんですけど、歌詞を書く時に“スタートを切るとか始まりとかってテーマが必要だよね”って話になって、“ファンファーレ”という言葉が出てきました。
3曲目の「NEW WORLD」も新たなスタートという意味で「ファンファーレ」とつながるところがありますね。
小関
後付けになるんですけど、激しい雨を降らして、「ファンファーレ」でスタートを切って、新しい世界に行って、インディーズ時代からやっている「夜明けの歌」で、夜明けをみんなで待とうという流れがまたうまいこと自然に(笑)。
自然にそういうストーリーが作れたと。
小関
4曲の中でどうやって幅を出すかってところで、マイナー調でリズムがハチロク(6/8拍子)で特別な感じがすると思って「NEW WORLD」を入れて、「夜明けの歌」も一番歌モノっぽいということで入れたんですけど、バラバラの4曲という感じにならずに一枚の作品としてちゃんとつながりましたね。
「夜明けの歌」のピアノはびっくりでした。
小関
もともと長尺のライヴではやっていた曲だったんですよ。インディーズ時代からちゃんとつながっているんだということで、新たなスタートをアピールする今回のシングルにあえて入れてみたんです。ただ、せっかく入れるんだからフレッシュなことをしたいと思って、前から入れたいと思っていたピアノを須田が弾いてみたらいい感じだったんで。そういう意味では、今後やりたいことも意思表示できたと思います。曲の中で自分が思ってもいなかった角度から音が流れてきたら、やっぱり楽しいですからね。今後もこういう曲はもちろん作っていきたいし、ライヴでもゲストを呼んでみたい。それにはまず今回のシングルをきっかけに人気を上げていかなきゃですね(笑)。
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「激しい雨/ファンファーレ」2017年04月12日発売PONY CANYON
ベンサム:2010年結成。16年4月に初ワンマンとして代官山UNITにてフリーライヴを開催することを発表すると、キャパシティーの10倍となる約5,000人から応募が殺到。17年4月にシングル「激しい雨/ファンファーレ」でメジャーデビュー。同年7月には1st アルバム『Re: Wonder』、19年2月には2ndアルバム『MYNE』、同年11月にはバンド初となるベストアルバム『Bentham Best Selection「Re: Public <2014-2019>」』をリリース。結成10周年の節目を迎えた21年は、周年記念プロジェクトの一環として365日×10年をテーマに「3650」を発動。同年9月には全10曲入りアルバム『3650』を発表した。BenthamオフィシャルHP