【J】自分自身のスタイルを死ぬまで
守り続ける

ソロデビュー20周年を記念して3月に発表したベストアルバム『J 20th Anniversary BEST ALBUM <1997-2017> [W.U.M.F]』を携え、全国ツアーを敢行中のJ。EX THEATER ROPPONGIでファイナルを迎える6月25日は、1stシングルをリリースした日。Jは“20年前の自分と勝負する”と誓った。
取材:大前多恵

ソロデビュー20周年ツアーの真っ只中ですが、初めてのソロライヴの時のことって覚えていらっしゃいますか?

覚えてますよ。渋谷CLUB QUATTRO(1997年7月7日)で、スッと自然に入っていけたと思う。LUNA SEAとはまた違う自分自身の世界をライヴで表現できるという喜びを感じていて、不安や緊張はまったくと言っていいほどなくて。新たにスタートする世界に向けて、ワクワクしている気持ちが強かったですね。

その後、ライヴをする上での軸、信念に何か変化は?

俺がやっていることはどちらかと言うと、音楽的にうるさい部類に入ると思うんですよね(笑)。でも、そんな激しさの中にもストーリーがあってほしいというか、ただ激しさだけに終始してしまうのはすごく嫌だなと感じるようにはなっていって。最初は“インパクトがあれば成功”みたいなところもあったかもしれないけれど、その後いろんな壁をクリアーしながら、さらに次のフェイズに進んだんだと思う。

そういったライヴの進化の影響で、楽曲制作の仕方が変わることもあったのでしょうか?

やっぱり、自分が今持っていない雰囲気の曲をライヴのために作ることは多くありますよね。そして、その曲が後々CDに入っていって。だから、アルバムという作品を作ってはいるんだけど、実はライヴの世界をもっともっと広くしていきたい、深くしていきたい、大きくしていきたいという想いの中から生まれてきた曲も多いんです。

最近で言うと、そんな役割を担うべく生まれてきたのはどの曲ですか?

1曲で言うのは難しいんですけど、オリジナルアルバムの最新作『eternal flames』に入っている曲たちは、そのバランスがとてもいいんじゃないかなと自分自身では思ってますね。ハードな部分もあり、メロディアスな部分もあり、自分のロック観、世界観を表現するのに一番フィットしている作品だと思います。

Jさんの楽曲、ライヴは、軸を保ちながらも決して固定化した古典芸能のようにはならず、フレッシュさが常にあるのがすごいなといつも思います。

うん。それは当然の前提として進んでいってるんですよね。俺がいくら“変わらない”とは言っても、例えば1990年代に有効だった8ビートと、2017年の今有効な8ビートは、絶対に波動や空気感が違うと思うんですよ。この時代を生きて呼吸をしていれば自ずと絶対にそうなっていくはず。だから、吸収することをやめないし、いろんな楽しいこと、刺激的なことをいつでもキャッチする。閉じないことが大事ですよね。それに影響されて自分が変わっちゃうという意味ではなくてね。ずっとやり続けてきていると、何かを変えなきゃいけないような強迫観念に駆られる時もやっぱりあるんですよ。でも、きっとそれはまやかしだと思う。そんなことよりも大事なものがあるってことに俺は気付いたんです。だって、外タレを観ていても思うんだけど、長くやっているバンドほど、どのライヴを観ても一緒のライヴ映像になりませんか?(笑)。

確かにそうですね(笑)。

でも、それをやり続けられているのはどれだけすごいことかというのを、俺たちは改めて感じるべきだと思うんですよ。今までの日本のロックバンドは短命すぎたんじゃないかな? 打ち上げ花火的なね。でも、俺たちの世代も、もっと上の世代のバンドも、まだガンガン活動しているし、ずっと自分たちの音を鳴らし続けるバンドはこれからもどんどん生まれてくるだろうし。今はそういうフェイズに入っていっているんだろうなとも思う。俺自身、自分のスタイルを変えることなくライヴをやり続けていきたいなとすごく強く思っているんですよね。変えるほうが不自然だし、自分がせっかく放った自分自身のスタイルなわけだから、死ぬまで守り続ける…そういう気持ちでいるんです。それが熱となり、音となり、強さとなって、みんなに届いていくと思っています。

Jさんはステージを去る際、必ず“次会う時まで、絶対にくたばるなよ!”とファンの方に向けてシャウトなさいますよね。あの言葉はいつから言われているのですか?

覚えていないんですけど、たまたま発した言葉だったと思うんですよね。ここでライヴは終わってしまうけれども、次のライヴに向けて、みんなが日常に戻っていった時、それぞれのステージでどうロックしていくのかな?なんていう想いの中から生まれた言葉なのかもしれない。今となっては、みんなとの約束の言葉になっていますね。

生きていることが当然ではないんだという想いが年々強くなっていく中、聞くたび心に染み入ります。

当然、先のことなんか約束できない中で、みんなとあえて約束をするということ、信じることの強さ…そういう想いをあの言葉は含んでると思っているのでね。そう言いながら、俺が最初にくたばったりしてね(笑)。

いえいえ、Jさんには長生きしていただかないと(笑)。6月25日のEX THEATER ROPPONGIでファイナルを迎える全国ツアー中ですが、最後に意気込みを聞かせてください。

前回のライヴからだいぶ期間が空いてしまっている久しぶりの場所もあるので、各会場、待たせた分だけ全力で打ち抜きに行く気持ちがありますね。6月25日は、20年前に俺の1stシングル「BURN OUT」がリリースされたメモリアルな日でもあって。だからある意味、20年前の自分自身との勝負でもあるし、バンドもエネルギーに満ちあふれているタイミングなので、最高の日にしたいです。ここ最近、ツアーの初日から“え? もうツアー始まってた?”みたいなテンションでいけることが多いんですよ。各メンバーのフォーカスが早々に合ってるというかね。20年という時間を突き進んできたからこその熱い音を鳴らせたらいいなと思ってます!
J プロフィール

ジェイ:1992年にLUNA SEAのベーシストとしてメジャーテビュー。97年、LUNA SEA の活動休止を機にソロ活動を開始。翌年LUNA SEA を再開するが、00年12月の東京ドーム公演にて終幕し、本格的にソロ活動をスタートする。03年にはアリーナ・オールスタンディングによる、ソロ活動初の武道館公演を実施。その後もとどまることなく自身の音楽を追求し続け、17年3月にはソロデビュー20周年を記念したベストアルバム『J 20th Anniversary BEST ALBUM <1997-2017> [W.U.M.F.]』を発表。現在は10年に再始動したLUNA SEAとソロの両輪で活動中。J オフィシャルHP

LUNA SEA プロフィール

ルナシー:1989年、町田プレイハウスを拠点にライヴ活動を開始(当時の表記は“LUNACY”)。90年にバンドの表記を“LUNA SEA”に変更し、翌91年に1stアルバム『LUNA SEA』をリリース。そして、92年にアルバム『IMAGE』でメジャーデビューを果たす。00年12月26日&27日の東京ドーム公演を最後に終幕を迎えるが、07年12月24日の満月のクリスマスイヴに東京ドームにて一夜限りの復活公演を経て、10年に“REBOOT(再起動)”を宣言。13年12月には13年5カ月振りとなる8枚目のオリジナルアルバム『A WILL』を発表する。その後、バンド結成25周年を迎え、自身初の主宰フェスとなる『LUNATIC FEST.』も開催し、17年12月にはオリジナルアルバム『LUV』を、19年12月にはグラミー賞5度受賞のスティーヴ・リリーホワイトとの共同プロデュースによる10枚目のオリジナルアルバム『CROSS』をリリース。LUNA SEA オフィシャルHP

OKMusic編集部

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