取材:土屋京輔

何か新しいものを提示したかった

事前に宮脇くんから前作「MERRY GO WORLD」を超えるさわやかな曲ができたと伺ってはいましたが、何の予備知識もなく聴いたら驚かされるポップさが表れてますよね。

川内
酒井さんが書くとロックな曲とポップな曲が結構極端なんですけど、今回はその中でもすごく突き抜けてて。何か腹を括った感があるというか(笑)、いい意味で吹っ切れたような勢いがあるんですよね。でも、中途半端なものは出したくない気持ちはメンバー全員にあったんですよ。
酒井
毎回同じような曲は出したくないし、挑戦したい欲求があるんですよ。だから、「MERRY GO WORLD」に負けない、突き抜ける感が欲しくて。あくまでもストレートなサウンドで勝負したいとは思ってたんだけど…ほんと、その時の自分から自然と出てきましたね。でも、アレンジを進めていく中で言えば、今の12012なら、これまでと違ったバンド感でアプローチすることもできるだろうと思えてきたり…言うなれば、今まではもっと回りくどいやり方だったかなとも思うんですね。でも、それじゃあ、今までのファンも満足してくれないだろうし、ある意味の裏切りなんですけど、俺らも何か新しいものを提示したかったんですよ。

バンドアレンジで、どのように変化したのですか?

宮脇
当初はもうちょっと落ち着いた、午後3?4時のちょっと涼しくなってくるような陽の照り方だったんですよ。でも、これを昼12時のド暑い太陽にしたくて。あえて今まで、そういう曲はやってこなかったんだけど、これはちゃんと言葉にしてメンバー内でも話し合いましたね。そんな中で、そのイメージを思い起こさせるようなフレーズも生まれてきたんです。
川内
ただ、自分たちで頂点を決めずに、登れるところまで登ろうっていう目標だったんですよ。特にドラムは生楽器なんで、気持ちの面はより音にも出てくると思うんですね。実際にライヴでやったらすごく面白いだろうなとも思ったし、どう見せようかなとも考えながら叩いてました。

“太陽”というタイトルも新鮮ですよね。歌詞の内容も“僕が太陽だ”といった明確なポジティヴさがありますし。

宮脇
あえて言うと、僕はインディーズ時代の「ocean」の進化版かなと思ってるんですよ。以前は明るい曲では暗いことを歌ったり、暗い曲では明るい内容を歌ったり、結構、真逆な表現をすることが多かったけど、この「太陽」はストレートにそのままの表現なんですよね。歌詞はしばらく寝かせてたんですよ。でも、5月15日に赤坂ブリッツでやった5周年ライヴの後に、また踏み出して行きたい気持ちが芽生えてきて、それがまさに太陽と比喩するものになったんです。自分たち自身も無償の太陽様のような存在でありたい願望を込めてね(笑)。素直に正面切って言うことって、今まで避けてきたところがあるんですよ。ひねくれるのは簡単なんです。でも、今なら素直言えるんですよね、“ありがとう”って。
酒井
ほんとに素直な感じで、分かりやすいと思うんですよね。僕も偽りなく、今思っていることを音楽にしたい人間なんで、その思いにもちゃんと沿っていてうれしいんですよ。

今後の12012が見えてくる曲とも言えそうですね。

宮脇
いや、まだ決めてほしくはないんですよ。ファンの子が喜ぶ曲がどんなものかは分かってるんだけど、僕らは最終形を探しているんですね。変化はしていくべきものだと思いますし、だから常に挑戦を続けているんです。
12012 プロフィール

宮脇渉(Vo)、酒井洋明(G)、須賀憂介(G)、塩谷朋之(B)、川内亨(Dr)のメンバーからなる5人組ロック・バンド。「人間の内面における狂気」というコンセプトのもと03年5月に結成。03年7月に1stシングル「depression sign」でインディーズ・デビュー。大阪を拠点として数々のライヴに出演、不定期ではあるが江坂BOOMIN HALLにて主催イベント『Formal≠Normal』を開催し、ヴィジュアル好きのファンのみならずロック・ファンをも虜にしていく。インディーズでシングル8枚、ミニ・アルバム5枚、1stフル・アルバム、裏ベストを発表後、Dir en greyやkannivalismなどが在籍する<フリーウィル>に所属事務所を移籍。

07年6月には、<ユニバーサルミュージック>から1stシングル「CYCLONE」をリリースし念願のメジャー・デビューを果たす。ロサンジェルス市警の“犯人凶器所持”という暗号から引用されたバンド名“12012”が示すように、危険性を匂わせる彼らのステージは、日本のみではなく米国を中心に欧米にまでその支持を拡大している。12012Official Website
12012 Official Website
公式サイト(レーベル)

OKMusic編集部

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