取材:石田博嗣

このアルバムには特別な感情がある

早いペースでシングルを出して、前作から1年と経たないうちに今回のアルバムが発表されるのですが、昨年の東名阪のワンマンライヴ以降、ずっと制作活動をしていたという感じですか?

ず~っと制作してましたね。

では、どんなアルバムにしたいかの構想は早い段階からあったのですか?

そうですね。シングルを作っている時から、“今回はヒカリロックをテーマにしよう!”って。もちろん、“陰のロックもやりたいね”ってのもあったから、インパクトの強いものを作っていこうかっていう感じで進んでいきました。

楽曲のセレクトもそういうことを意識して?

今回、岡本さん(岡本仁志/GARNET CROW)の曲が多いんですけど、みんなとミーティングを始める段階から、たくさんいい曲があったんで、それを全部アルバムに入れたんですよ。もしかしたらそこがアルバムの軸になっているかもしれないですね。

今まで以上にバンドサウンドになった印象もあるのですが。

そこは大事にしたかったところですね。一枚目のアルバム『Secret Code』はすごくハードなもので、がむしゃらに走っている感じとか、ダークな部分も出した作品だったし、二枚目のアルバム『明日のために~Forever More~』はテケテケ系も入っていてキャッチーでピースフルなものだったんで、今回は深みがあって、厚みもあるもの…もともとバンドサウンドを大事にしていたから、そういう音を作りたいってのは思ってました。

楽曲的なところでは、中盤の岡本さんの曲ではないところ、グルービーで挑発的な「Walking down the street」などがフックになってますよね。

そうですね。『ピエロ』や一枚目のアルバムとかで私のことを知ってくれて、好きになってくれた人というのは、勢いだったり、荒っぽさ、棘ってものを期待していると思うし、待ちわびてると思うんですよ。やっぱりそういう人を無視できないし、求められているから応えたいっていう気持ちもあるんで、一枚目を少し匂わせるような『Walking down the street』や『Crash』を作ったという感じですね。

そういう勢いと反対方向にあるのがミステリアスな「Secret Night」なのですが、この曲もフックになってますよね。

アダルトなムードの曲ですよね。ブルースのような、こういう引き出しは私にはなかったんで、やってみるのもアリだってことで…まさにアルバムだからこそできる曲ですよね。自分が歌っている姿が想像できないんで、最初は“どうなっちゃうんだろう?”っていう不安が大きかったんですよ。でも、実際に歌ってみたらめっちゃ面白かった! 出来上がったものを聴いても“いいよ、これ!”って思えたし、アルバムを通して聴いてみてもいいスパイスになってるし、結果オーライじゃないですけど、いい曲に仕上がりましたね。

最後にPremium TruckとしてZARDのカバーで「愛は暗闇の中で」が収録されているのですが、なぜこの曲を今回のアルバムに入れようと思ったのですか?

今年の4月にZARDのシングルとしてリリースされた時に、コーラスで参加させてもらって、坂井(泉水)さんが書き直した歌詞の部分を私が代わり歌うというすごい任務を任されたんですけど、最初は事の重大さを全然分かってなかったんですよ。でも、やってみて痛感したというか…。で、それがきっかけで『What a beautiful memory』(ZARD 追悼コンサート)の大阪と東京公演に出させてもらったんですけど、そこですごく大きな衝撃と感動を覚えて…あれは、あのステージに立たないと分からないでしょうね…。だから、『愛は暗闇の中で』という作品に感謝してるんですよ。去年1年というのは、実は私、悩みに悩んでたんですよ。音楽をどういうふうに作ればいいのか、求められるものと作り上げるものの違いとか…そういうところでずっと悩んでたんですけど、あのステージに立って、そんなことはもうどうでも良くなった。坂井さんとはモニタ-上でしか会えなくなってしまっても、あれだけの人が集まって、すごい感動があって…それって音楽で通じ合ってるんだと気付いた時に、私が悩んでいることなんてすごくバカバカしいことだなって。自分がやりたい音楽を作って、歌いたいことを歌えばいいんだって。で、それが出来上がった時にリリースすればいいんだって。ほんと救いだったし、助けられたんですよ。あれは自分にとって一生忘れてはいけない出来事なんで、『愛は暗闇の中で』を2008年の3rdアルバムに刻み込みたいと思ったんです。

ってことは、「愛は暗闇の中で」がなければ、このアルバムは作れなかった?

そうですよ! 『愛は暗闇の中で』をやってなかったら、まだ去年みたいに迷ってるだろうし、答えが欲しいから必死に制作はするんだけど、また悩んでしまって…それをずっと繰り返してたと思うとゾッとしますね。だから、Premium Truckより前に収録されている曲というのは、この『愛は暗闇の中で』がきっかけになって、こんなにも1曲1曲が個性的で、キラキラとしたヒカリロックになったんだなって思いますからね。そういう意味でも、今回のアルバムは超自信作ですよ。めちゃくちゃベストを尽くしたし、悩みから抜け出して幸せになれたし、精神的に大きく成長もしたし、『愛は暗闇の中で』を入れることができたし、しかも自分の誕生日にリリースするし…このアルバムには特別な感情がありますね。

そんなアルバムを引っ提げての東名阪のライヴが決定したのですが、どんなライヴになりそうですか?

今までのライヴが“当たり”だとすれば、今年のライヴは“大当たり”になると思いますね。今回の三枚目をメインに一枚目のいいところ、二枚目のいいところをセレクトしてセットリストを組んでいっているので、かなり盛り上がりますよ。自分でもセットリストを考えていて、すごくワクワクしてますからね(笑)
上木彩矢 プロフィール

1985年9月10日生まれ、北海道出身の女性シンガー、上木彩矢。4歳よりクラシック・ピアノを始め、中学生の頃からライヴ活動を開始。この頃からパンク/ロックの影響でギターも始める。インディーズでの活動を経て、06年3月に<GIZA studio>よりシングル「Communication Break」でメジャー・デビュー。

06年4月にB'zの楽曲をカヴァーした2ndシングル「ピエロ」を発表し、オリコン週間チャート初登場9位にランクイン。続いて7月発売されたメジャー1stアルバム『Secret Code』がオリコンアルバム週間チャート初登場5位を獲得。本作がロング・セールスを続け、07年3月には『第21回 日本ゴールドディスク大賞 ベスト10 ニューアーティスト賞』を受賞した。

また、圧倒的な迫力のライヴ・パフォーマンスには兼ねてから定評があり、その豊かな表現力は、メジャー・デビュー前から音楽専門誌などに取り上げられてきたほど。06年より定期的に開催しているワンマン・ライヴのチケットは、即日ソールド・アウトが続出するなど、いずれも大盛況を収めている。

09年8月、<エイベックス>が主催する夏のライヴ・イベント『a-nation'09 powered by ウイダーinゼリー』に出演し、音楽活動の拠点を東京へ移すため<エイベックス>へ移籍することを報告した。同年11月には移籍第1弾シングルとして、テレビ朝日系『仮面ライダーW(ダブル)』主題歌「W-B-X 〜W-Boiled Extreme〜」を発表。10年1月には4thアルバム『INDIVIDUAL EMOTION』と初のベスト・アルバム『AYA KAMIKI Greatest Best』を同時発売するなどコンスタントにリリースを重ねている。上木彩矢 Official Website
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OKMusic編集部

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