【the pillows】世界が居心地悪く、
居場所を探している人に聴いてほし
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待望のニューアルバムの発売を控えたthe pillows が、シングル「NewAnimal」をリリース。熱いロックンロールサウンド、優しく力強い歌詞と歌声。勢いあふれる今作に、アルバムへの期待も高まるばかりだ!
取材:フジジュン
まずは、アメリカでのライヴのお話から聞かせてください。
山中
今回はアメリカでツアーを回ることに何も感じていない自分に気付きましたね。“良いライヴができれば”ってことを日本で演る時と同じ感覚で思えて、そこで感動したり、悔しくなったりって感じでした。それより僕はオフの時にホテルからコンビニまで、音楽を聴きながら歩いた時とか、その景色や音楽の響き方がすごく良くて。今となっては中高生の頃のように音楽を楽しんで聴くってことが減ってきているんですけど、いつも聴いている音楽がまったく違って聴こえて、それが素晴らしく良かったですね。まるで僕の好きな映画の中を歩いているような気分になりながら、好きな音楽を聴いているのがとても気分良くて…そういうふうに音楽を聴くってのは本当にいいなって改めて思うことができて、そういう体験がすごく良かったなって思います。
そんな気分が今後の曲作りにも反映されてくるかもしれないですね。
佐藤
あとね、シアトルで演った時、お客さんに押されてステージが崩れかけて(笑)。僕は押し潰されそうになってるのに、他のメンバーが誰も気付いていなくて…。
真鍋
そのライヴハウスはまだプレオープンで、仮設ステージだったんですよ。
山中
お客さんがその日に限ってダイヴ、ダイヴですごくてね! 僕もそれまで煽ってたんだけど、ステージが崩壊寸前だってことに気付いて、“さっきのは嘘だ!”って(笑)。
そんなアメリカでのライヴの映像も今作には収録されるんですよね?
山中
ちょっとだけね。なんか楽しそうだなっていうのが伝わるくらい(笑)。
そして、シングル「New Animal」ですが、この曲からは先程話していた、中高生の頃に音楽を聴いた時のような新鮮さというか、青さやキュンとくる感じがありますよね。
山中
そうですね。最近また気付いたんですけど、the pillowsの山中さわおとして、シンガーソングライターのスイッチが入った時には20代前半くらいの気分で書くのが一番しっくりくるんです。音楽と自分の関係性、芯の部分での関係性はもうその頃に出来上がっていて。その関係性に飽きることなく未だに楽しめているというか、その振動の余波みたいなものが今の僕も楽しませてくれているみたいな気持ちがどこかにあって。8割くらいは当時の僕の気分で書くのが一番気分が乗るし、それが一番僕らしいってことに気が付いたんですよね。そこでスッと歌うと「New Animal」みたいになるのかなって。
正直な自分から生まれた曲だったと?
山中
でも、これはすごく僕らしい歌でもあるけど、世界が居心地悪いと感じていて、まだ自分の居場所を探している人たちに向けて、“僕たちは新しい動物だから居心地が悪いだけなんだ”っていう、愛情を込めて歌っている曲でもありますね。多分、当たっていないと思うんですけど、“僕の歌が好きな人はこういう人”っていうイメージが僕の中で漠然とあって。この曲を書きながら、そんな人たちはこの気持ちもきっと分かってくれるだろうなって思っていたところもあるかもしれないですね。
なるほど。そんな人たちへ愛を込めて、“New Animal”と呼びたいと。“何度も躓いているうちに/羽が無くても飛ぶ気になったのさ”という歌詞がありますが、若い頃は“もう飛ぶことができないかもしれない”と思う瞬間も何度かありました?
山中
ん~…ないですね。少なくともthe pillowsの関係性が良いものになってからは、そういう感覚はないですね。“ものすごい天気悪いぞ!”とか、“風が強ぇぞ!”みたいな、対外的な理由はあったかもしれないけど、自分自身に対しては揺らいでないです。自分で自分たちのことを嫌いになったら辛いけど、対外的な苦しみはたかが知れてるから。雷が鳴っていても、“この雷に打たれても飛ぼうぜ!”って感じだったと思います。でも、この曲の一番のポイントは“リスクは少ない方が良いって/近所の犬に言われたけど”って歌詞を見て、シンイチロウくんが“山中んちの近所の犬って喋るんだ”って言っていたことですよね(笑)。
真に受けちゃってね(笑)。サウンド面の聴き所は?
真鍋
今回、本当に良いギターの音で録れたと思っていて、ギターバンドと胸を張って言えるクオリティは出せたかなと思いますね。あとは、シングルとアルバムを一気にレコーディングしたので、カップリング含めて同じ気分といいますか…どの曲がシングルでもアルバムでもおかしくないと思うし、the pillowsをいろんな形で楽しめるシングルができたと思います。
佐藤
2曲目「Finger post of magic」で怒髪天にコーラスをやってもらっていて、the pillows始まって以来の男らしいコーラスになっているので。そこも聴き所です(笑)。
- 「New Animal」
- 【通常盤】
- AVCD-31410
- 「New Animal」
- 【初回限定盤(DVD 付)】
- AVCD-31409/B
1989年、山中さわお(Vo&Gt)を中心に結成。既存のJロックとは一線を画した、洋楽的な視点を持つギター・ロック・バンドの先駆者的存在。91年5月にシングル「雨にうたえば」で<ポニーキャニオン>よりデビュー。1993年にリーダーの上田ケンジが脱退し、表立った活動が休止状態になるも、翌年<キングレコード>に移籍し、残った3人で活動を再開。バンド・ブームの余韻が残る90年代前半、過小評価されていた彼らの音楽だったが、97年1月発表の5thアルバム『Please Mr. Lostman』より、徐々に状況が変わっていく。60's風のテイスティなメロディ、シンプルかつラウドなサウンドが耳の肥えた若いロック・リスナーを中心に話題を呼び、99年1月に傑作の誉れ高い7thアルバム『RUNNERS HIGH』をリリース。ロック・ファンを中心に絶大な支持を獲得していった。00年7月発表の「Ride on shooting star」はOVA『フリクリ』の主題歌、11月発表の「I think I can」が『スポーツMAX』のEDテーマに起用。その後もコンスタントにリリースやライヴ活度を続け、06年より<avex trax>に移籍。09年に結成20周年を迎え、結成20周年記念日となる9月16日には初となる日本武道館単独公演を敢行。チケットは一般発売後10分で完売したため入手困難なプレミアムチケットとなり、会場には全国から1万人のファンが集結した。また、そんな彼らは多くのミュージシャンから支持を得ており、14年2月には結成25周年を記念したトリビュートアルバム『ROCK AND SYMPATHY』がリリースされた。オフィシャルHP
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