【LOUDNESS】4人で音を出す時は魂を
解放して楽しみたい

結成27年目に突入したLOUDNESSの新作『METAL MAD』。高崎 晃(Gu)が“人が出している音のハーモニーが一つになって弾けている”と語るほど、超強力なロックアルバムに仕上がっている。
取材:石田博嗣

昨年は2月のクアトロサーキットがあっただけだったのですが、水面下で今回のアルバムを制作していたのですか?

僕は毎年春頃にソロアルバムを作っているので、2月のクアトロツアーが終わった後は、その作業を3ヶ月ぐらいやってましたね。だから、このアルバムを作り始めたのは6月ぐらいからかな?

どんなアルバムにしたいか構想はあったのですか?

その頃はぼんやりとしかなかったけど、ドラムの樋口宗孝とミーティングしてる時に、前作の『BREAKING THE TABOO』がメロディー重視だったんで、今回はもっとヘヴィで、ハードで、メタリックなロックアルバムにしたいなってことになったんですよ。“LOUDNESS”って名前を聞いて想像するような音というかね。

曲を作る時から、そういうことをイメージして?

そうですね。何も考えないで曲を作っていくと、いろんなパターンの曲が出てくるから…それこそソロアルバムで使うような曲とかね。やっぱり方向性がしっかりと定まっている方が作りやすいですね。

やはりソロとLOUDNESS用とでは曲のテイストは違うのですか?

LOUDNESSは真っ直ぐなノリだけど、ソロは変化球なんで、リズムのアプローチからして違いますね。特に最近のLOUDNESSは80年代の頃のストレートな曲を心掛けて作るようにしているんで。

本作ですが、1曲目のインストゥメンタル「FIRE OF SPIRIT」からすごいインパクトがありましたよ。

これはね、一番最後に作った曲なんですよ。“今回、1曲目はインストでいこか”って樋口と話してて…メタルのインストで思い浮かぶのって、ツインリードであったり、ギターでメロディーを弾いているものだったりするけど、そういう在り来たりのものにはしたくなかったんです。高音弦でメロディーを弾くと細い音になるけど、図太いままでずっと続くような、LOUDNESSらしい強烈なインストを作りたいと思ってて、それが最後に出てきたという感じですね。

最後にできたせいか、アルバムのカラーを象徴しているようなサウンドですよね。あと、「SPELLBOUND #9」や「GRAVITY」などはアレンジがひと筋縄ではいかないというか、1曲の中でいろいろな表情を見せているのが印象的でした。

一定のリズムの中だけで演奏してるんじゃなしに、“このパートはもっと速くしよう”とか“ここは遅めで”っていう感じで、今回はテンポチェンジもバンバンしてますからね。

曲をバンドアレンジしていく時は、どんな感じだったのですか?

最初にギターリフが生まれて、それをスタジオでライヴのように大音量で弾くんですけど、10回ぐらい弾いたら、みんなも“これはこういうリズムだな”とか“ここまではユニゾンでいこう”って分かる…やっぱり27年ぐらい一緒にやってるんで、言葉で言わなくても分かり合えるグルーブがあるから、その中でどんどん進めていきながら、最後にメロディーラインを構築していったという感じですね。

今回は全曲英詞なのですが、それも話し合って決めたのですか?

ヴォーカル録りを始める前にね。ワールドワイドなマーケットで勝負したいから、今回は英語でいこうって。やっぱりね、日本語だとあまりにもストレートに言葉の意味が入ってきすぎるから、僕らのようなサウンドには英語の方がフィットするんじゃないかな。今回、英語でやって正解だったと思いますね。

手応えとしては、どんなアルバムが作れました?

デビューして27年目になるんですけど、昔からのLOUDNESSのファンも、最近好きになってくれたファンも、両方に満足してもらえるようなサウンドに仕上がっていると思いますね。でも、そういうのをわけ隔たりなしに、今のLOUDNESS…バンドというのは生き物なんで、今の生きてるLOUDNESSの音楽がコレなわけなんですよ。自分らが好きで、最高だと思う音をクリエイトしているだけなんで、それをファンの人に理解してもらいたいし、このアルバムを楽しんでほしいですね。このアルバムを作ってた時、メンバー全員が幸福感に包まれていたと思うし…LOUDNESSとして一緒に音を出して、同じ目的に向ってクリエイトしているということでね。歳をとってくると、みんなとLOUDNESSという集合体で一緒にやれていることがすごく幸せに感じるんですよ。だからこそ、4人で音を出す時は魂を解放して楽しみたいと思うんですね。そんな自然に沸き出た4人の輪というのが、すごく噛み合ったアルバムですね。言葉では伝えづらいんですけど、音を聴いてもらったら分かってもらえると思うし…ほんと、4人が出している音のハーモニーがひとつになって弾けているんですよ。LOUDNESSという集合体で活動できることの幸福感を感じているからこそ、こういう素晴らしいアルバムができたって思いますね。

このアルバムを聴いて、ライヴが非常に楽しみになりました。なので、4月にあるクアトロツアーが待ち遠しいです。

『Metal Mad』のツアーなんで、毎回恒例の曲を少し減らしてでも、このアルバムからできるだけたくさんの曲を演ろうって思ってます。今回のアルバムの曲って難しいんですけど、ある意味演りやすい…テンポが速いし、“このアレンジはムチャやろ!”って思うものもあるんですけど、譜面を見ながらいろいろ考えて演るわけじゃないからね。魂を開放したまま突っ走っていけるような曲ばかりなんで、ライヴでは演りやすいんですよ。だから、僕らも楽しみですね。
『METAL MAD』
    • 『METAL MAD』
    • TKCA-73302
    • 2008.02.20
LOUDNESS プロフィール

日本が世界に誇るへヴィ・メタル・バンド、ラウドネス!! 野茂や佐々木が米国野球界に挑戦する10年も前に、アメリカ音楽界に殴り込みをかけた男たちがいた。元レイジーの高崎晃(g)と樋口宗孝(dr)を中心に結成されたラウドネスは、81年に『誕生前夜』でデビューを飾る。メタリックかつプログレッシヴ、ア〜ンド、メロディアスなサウンドは、ジャパニーズ・メタル(通称ジャパメタ)・ムーヴメントの幕開けを告げる狼煙となり、多くの若手バンドがその後に続く。ニ井原実のハイトーン・ヴォーカル、高崎の煙の出るような超絶ギター・ソロ、そして、山下昌良(b)と樋口による鉄壁のリズム隊は、海外のへヴィ・メタル・バンドに何ら遜色のない実力を誇った。『撃剣霊化〜DISILLUSION』(84年)で日本メタル・シーンの頂点を極めた彼らは、『THUNDER IN THE EAST』(85年)を引っ提げて、遂にワールドワイド・デビューを果たす。それに伴い、モトリー・クルーのオープニング・アクトとしてアメリカ・ツアーを敢行、日本人としては初めてマジソン・スクエア・ガーデンでライヴを行うという快挙を成し遂げる。さらに、アルバムもスマッシュ・ヒットを記録し、その名を全米に知らしめたのであった。以後も、メンバー・チェンジを繰り返しながら、傑出した作品を次々と発表する。00年10月には、ニ井原実(vo)、高崎晃(g)、樋口宗孝(dr)、山下昌良(b)というオリジナル・メンバーで活動開始。メタル道を追求する姿勢は少しも揺るがず、鋼鉄の牙城を死守し続けている。LOUDNESS Official Website
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OKMusic編集部

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