80‘sアーティストの極めつけディス
コヒット5曲(その1)

70年代中頃までのディスコ音楽はファンクやソウル系が中心であったが、70年代の後半になるとディスコ人口が増え、それに比例するようにポップス系やロック系のアーティストが台頭するようになる。80年代に入るとシンセを中心にしたテクノ系やユーロビートなども参入するなど、様々なスタイルの音楽が群雄割拠したが、ディスコファンはサウンドの広がりを大いに歓迎したのである。今回は日本のディスコ人口が激増した80年代のヒットを取り上げようと思う。

様々なジャンルに派生していった80年代
のディスコ音楽

ディスコにおいて何より優先すべきことは、“踊る”ことであり、初期のディスコ音楽は単純にダンサブルな曲がなにより好まれた。しかし、ディスコ人口が増えるにつれ愛好者の年齢層が幅広くなり、ファンクやソウルに加えてポップス系やロック系などの音楽も好まれ、世代によっての好みが細分化していった。そんな中、映画『サタデー・ナイト・フィーバー』が大ヒットを記録し、各映画会社はダンス映画とサウンドトラックをタイアップすることで、二匹目のドジョウを狙っていく。『グリース』(‘78)、『フラッシュダンス』(‘83)、『フットルース』(’84)など、音楽映画は次々にヒットし、そのサウンドトラックはディスコでも大ヒットする。

一方で、アバが道筋をつけたディスコのポップス路線も順調で、本家のアバはもちろん、ノーランズやブロンディーらが80年代に入るとヒットを連発する。ロックやテクノ系のアーティストではブリティッシュ勢のカルチャー・クラブ、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド、デビッド・ボウイらがディスコ向けのダンス路線で成功するなど、ディスコ音楽の層は厚くなり、ますます隆盛を極めていく。そんなわけで、80年代のディスコヒットは様々なジャンルに分散し、またその数も多いので何回かに分けて紹介しようと思う。

それでは、80‘sアーティストによる極めつけのディスコヒットを5曲セレクトしてみよう。

1.「Funky Town」(‘80)/Lipps Inc
.

全米ダンスチャート1位。曲の出だしは無機質なユーロビートでミュンヘンあたりのグループかと思いきや、このグループはアメリカ在住の3人組ユニット。このユニットはディスコ向けの企画チームなのだが、他にもリリースしているものの、この曲以外はヒットせず83年には解散している。シンプルで印象に残るリフ以外は大したメロディーがあるわけでもカッコ良い演奏があるわけでもないが、今でもラジオやテレビでしょっちゅう聴く。CMで一部だけ使われるのを聴くとインパクトがあるので広い用途で使われているようだ。当時は誰も想像しなかったことだが、意外に息の長い曲なのだ。日本ではディスコ好き以外にはそんなに知られていたわけではないが、ディスコ愛好者にとっては大いに盛り上がる曲のひとつである。余談だが、不思議とPUFFYの「アジアの純真」のメロディーに似ているのが面白い。

2.「ダンシング・シスター(原題:I’
m in the Mood for Dancing)」(‘80
)/The Nolans

当時ヒットを飛ばしまくっていたアバの曲と似た、キャッチーなメロディーで勝負したノーランズの大ヒット。これはディスコ向けというわけではないが、若い世代のディスコファンが激増した頃でもあるのでディスコでも大人気曲となった。60年代のモータウンやフィラデルフィア・インターナショナルのヒットをよく研究して作られており、今リリースしてもヒットするのではないかと思うほど、よくできた曲だ。ノーランズはイギリスの姉妹グループで、日本とイギリスでは絶大な人気があった。この曲はオリコン洋楽チャートで1位を獲得しているのだが、面白いことにアメリカではシングルカットすらされていない。この後も「恋のハッピー・デート(原題:Gotta Pull Myself Together)」(‘80)や「セクシー・ミュージック」(’81)などのディスコヒットを立て続けにリリースするが、ヒットはそこまでで以降は徐々に忘れ去られていく。90年代に入って日本の歌謡曲をカバーするという企画で再ブレイクを果たすものの、彼女たちが光り輝いていたのはやっぱり80〜81年の2年間だろう。

3.「Can’t Take My Eyes Off You」(
‘82)/Boys Town Gang

ディスコファンなら忘れられない大人気曲。ボーイズ・タウン・ギャングは3人組で、別にいなくていい白人男性2人(ダンス要員)とヴォーカルの黒人女性ひとりからなるディスコ向けユニットだ。もとは1967年のフランキー・ヴァリのヒットをカバーしたもので、原曲の良さを損なわずに見事なディスコヴァージョンにアレンジされている。ストリングスのリフやサビの盛り上がりなど、どれだけ落ち込んでいる時でも必ず元気が出るという不思議な魅力を持っている。これだけディスコのフロアーに向いた曲はそうないだろう。彼らは持ち曲がカバーで成り立っており、星の数ほどあったディスコ向けの企画ユニットで、後世に残る1曲を生み出せただけでも奇跡に近いことである。この曲の前年にリリースした「Cruising the Streets」は全米ダンスチャート5位まで上昇しているが、単調なリズムに下品な語りが入るだけの曲で日本ではまったく受けなかった。

4.「Let's Hear It for the Boy」(‘
84)/Deniece William

映画『フットルース』の中に登場するキャッチーな曲。サントラからのケニー・ロギンスの「フットルース」に続く第二弾シングルとしてリリースされ、全米ダンスチャートで2週連続の1位となる。デニースは70年代にはスティービー・ワンダーのバックヴォーカリストを務めソロになるのだが、ソウルシンガーというよりはポピュラー寄りの歌手だ。当時はシンディ・ローパーやマドンナに似たシンガーとして活動していたため、サウンドプロデュースも類似した感じとなっている。だからこそ、ディスコでも人気が出たような気もする。ジョージ・デュークやポール・ジャクソンなど、豪華なバックを従えてはいるものの、リズムトラックが打ち込みなので軽い仕上がりになってしまっているところが少し残念である。この曲のヒットのあとも順調な歌手生活を送るのだが、やがて商業音楽から手を引きゴスペルシンガーとなる。

5.「Take On Me」(’85)/a-ha

彼らは珍しくノルウェー出身の3人組グループで、この曲が世界的に大ヒットし、ディスコでもかなりのヘビーローテーションとなった。打ち込みを基本としたチープなサウンドプロデュースで、シンセポップとしては当時すでに古臭いアレンジではあったが、美しいメロディーと北欧らしい透き通るようなコーラスは独特で、そのあたりが世界的に認められたのだろう。イントロのリフなどを聴くと日本の歌謡曲的な雰囲気もあるので、日本のディスコでは特にヒットしたのかもしれない。ちなみに、ノルウェーのアーティストで全米1位を獲得したのは彼らが最初で、2番目はまだ登場していない。当時、この曲のビデオクリップがMTVで頻繁にかかっており、アニメーションと実写が混ざった秀逸な作品で、今観てもすごい出来だと思う。このPVがなければ、これだけの大ヒットになったかどうか微妙なところ。

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著者:河崎直人

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