内田真礼が巻き起こす"楽しさと喜び
の螺旋” そして更新される一つの思
い出 代々木第一2ndライブレポート



『Smiling Spiral』と名された本ライブ、会場前からSEとしてアメリカンオールディーズの名ナンバーが流れ続ける、舞台セットはドライブインを模したものとなっており、映画『アメリカン・グラフィティ』を思い出すようだ。バンドメンバーの登場から中央の扉が開き、赤いアメ車に乗った内田が登場、一曲目「Shiny drive, Moony dive」を歌いながらセンタステージへ。「今日はみんなと楽しんでいくよ!」と叫び、一気に「クラフト スイート ハート」「アイマイ☆シェイキーハート」と連続で歌う。



MCでは「東京より北から来た人―?南から来た人―?男の子—!女の子—!」とコール&レスポンスを行い会場は一体化。トロッコに乗り会場を回ったと思えば、あっという間の衣装の早替えを行ったり、EDM的な音楽に合わせて総勢20名近いダンサーがレーザーやVJの表現と合わせて行ったダンスパフォーマンスなど、兎に角全編に渡って「絶対に飽きさせない」というスタッフの気持ちが現れてくるような演出の連続。



「世界が形失くしても」「Distorted World」「創傷イノセンス」とロックテイストの曲を一気に歌いこなしたあとに「Moment」「TickTack…Bomb」「5:00AM」、椅子に座って歌った「Life is like a sunny day」と柔らかな世界観の曲を続ける。まるで色が違うこれらの楽曲を内田は歌いこなす。

楽曲の持つ色、そして観客がそれを歌う内田に望む色。ライブ会場には様々な感情の色がいつも飛び交うものだ。ライブで一番感じたことは、内田がその全てを内包し、きっちりと絵画のように表現していたことだ。ロックを歌い、黒い衣装に身をまとった内田真礼と、白い衣装でしとやかに歌った内田真礼ははたして同一人物だったのだろうか?そう思わせるほどに雰囲気を変えて魅せる彼女は正に”声優“なのだろう。



生半可なセンスと経験値では出来ないことを満員の観衆の前で堂々と行う内田真礼を見て、今彼女が求められている理由が何となくわかった気がした。

「今日は昨日より落ち着いています。昨日はまるでフェスかな?と思ってたけど、今日は!私のライブです!」大声で叫び、笑顔をみせる内田。巨大な和太鼓と鼓、小太鼓が舞台上に現れ、大地を震わせるような爆音が響くと、和装で内田が登場。「モラトリアムダンスフロア」「からっぽカプセル」では、バンドサウンドに和楽器を加えたパフォーマンスを披露。



間奏で自らも和太鼓を叩き、歌う。予想もしなかった奇想天外なパフォーマンスたちは全て“内田真礼を楽しませるため”に向いている演出のような気がした。「クロスファイア」で客席に向かってボールをバッティングやバズーカーで打ち出す彼女は本当に嬉しそうで、それを応援する観客もまた一様に笑顔を見せる。「ギミー!レボリューション」では、グラフィックポイも使用され、兎に角舞台上は大騒ぎの空間。これだけのパフォーマーがステージ上で踊り、魅せるライブは中々見られるものではない。大型テーマパークのパレードのような華やかさ。会場のみんなは分かっている、内田真礼の楽しい!は僕たちの楽しいとイコールなのだ。「Smiling Spiral」で終わった本編だが、会場は収まらず、アンコールが響き渡る。





都合6着目、ライブTシャツに着替えた内田が「ずっと300人位の場所でリリースイベントなどやらせてもらってきて、今日は不安もあったんですが、本当にみんなのサイリウムが綺麗で…とっても嬉しいです」微笑みながら語る彼女の目が少し潤んでいたように見えたのは気のせいだったのだろうか。楽曲を、ファンの思いを一身に表現し続けてきた内田真礼の素の笑顔が少しだけ見えたような、そんな感覚を覚えた。

「まだまだ行けるか―!私を幸せにしてくれるかーっ!」

思い切り叫ぶ内田に歓声で答える観客。やはりファンとアーティストは相互作用しているのだろう。彼女の幸せは僕らの幸せ、僕らの楽しいは彼女の楽しいに直結している。だから歌える、だから飛べる。



「わたしのステージ」「高鳴りのソルフェージュ」「Hello, future contact!」で終わったライブだが、まだ終われない観客からの「もう一回!」コールは止まず、Wアンコールで登場した内田。「始まる前にすごい不安に思ったんだけど、それは始まったらこのステージが終わっちゃうから、それが嫌だったんです」と語る。「幸せは積んでいける、思い出は更新できる」と力強く、自分に言い聞かせるように言った内田真礼は「みんなの思い思いの色を見せてください!」とライブタイトルにもなっている「Smiling Spiral」を再度歌い上げる。会場は観客一人ひとりが自分が思う色のサイリウムを掲げる。ステージにも全てのパフォーマーが登場。ステージも客席も関係ない、楽しもうの氾濫のような思いが螺旋のように巻き上がる。正に「Smiling Spiral」がその場にはあった。



「皆さんを心の底から愛してます!」と叫んで舞台から降りた内田真礼。”一人フェス“と言っても過言でもない今回のライブを超えて、内田真礼はどんな進化を見せてくれるんだろうか。作詞・作曲はZAQ、カップリングのフューチャリングに上坂すみれを迎える5thシングルの制作も決定した今、加速的に成長し続ける内田真礼の明日もきっと、楽しさに溢れている。

レポート・文:加東岳史

セットリスト内田真礼2nd LIVE Smiling Spiral! 2017.2.26(SUN) 代々木第一体育館M-1 Shiny drive, Moony dive
M-2 クラフト スイート ハート
M-3 アイマイ☆シェイキーハート
M-4 Resonant Heart
M-5 世界が形失くしても
M-6 Distorted World
M-7 創傷イノセンス
M-8 Moment
M-9 TickTack…Bomb
M-10 5:00AM
M-11 Life is like a sunny day
M-12 モラトリアムタ?ンスフロア
M-13 からっぽカプセル
M-14 クロスファイア
M-15 Hello,1st contact!
M-16 ギミー!レボリューション
M-17 Smiling Spiral
<Encore>
EN-1 わたしのステージ
EN-2 高鳴りのソルフェージュ
EN-3 Hello, future contact!
<W Encore>
W EN-1 Smiling Spiral


販売情報内田真礼 ミニアルバム「Drive-in Theater」​BD付・初回限定盤ジャケット


【BD付・初回限定盤】
品番:PCCG.01566 価格:¥3,800+税
【DVD付・初回限定盤】
品番:PCCG.01567 価格:¥3,200+税
【通常盤】
品番:PCCG.01568 価格:¥2,500+税

【収録内容】
1. 「Shiny drive, Moony dive」
作詞・作曲:田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)/編曲:やしきん
2. 「モラトリアムダンスフロア」
作詞・作曲・編曲:大石昌良
3. 「Moment」
作詞・作曲・編曲:丸山真由子
4. 「5:00AM」
作詞:内田真礼、akane/作曲:mochilon/編曲:mochilon、y0c1e
5. 「クロスファイア」
作詞:山本メーコ/作曲・編曲:黒須克彦
6. 「Smiling Spiral」
作詞・作曲:田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)/編曲:eba
【封入特典】(※初回限定盤のみ)
・特典ディスク(「Shiny drive, Moony dive」「Smiling Spiral」MVほか収録)
・PHOTO BOOK

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