w-inds. 日本が誇るべきダンス&ボー
カルユニットの15年を追体験できるラ
イブ映像作品が完成

「なかなかないよね。一緒に苦難を乗り越えてきたというか」(涼平)
「今日こうしてみなさんと時間を過ごせたこと。そして15年間という長い長い間、応援してくださったこと。あらためて、本当にありがとうございます」(龍一)

アンコールの1曲目「FANTASY」を終えた直後の3人に待っていたのは、アニバーサリーライブの会場となった両国国技館にいるすべての人々が、w-inds.の15周年を祝福するサプライズプレゼントだった。それを受けて、3人はしみじみと噛みしめると同時に確信に満ちた語調で冒頭に引いた言葉を残した。

2016年、橘慶太、千葉涼平、緒方龍一の3人から成るw-inds.が15周年を迎えた。一口に15周年と言っても、w-inds.のようなダンス&ボーカルユニットが、さまざまな音楽的変遷を経て、音楽エンターテイメントの世界におけるど真ん中で第一線に立ち続けることは、本当に容易いものではない。この3人が音楽エンターテイメントの世界に選ばれたアーティストであることは間違いない。

しかし、この3人で音楽エンターテイメントの世界に立ち続けるという覚悟と信念を持ち続けなければ、15周年を迎えられなかったのも確かだ。3人はデビュー当時の自分たちを振り返り、口をそろえて「トゲトゲしていた」と言うが、それにも増して3人のマインドはキャリアと作品を重ねるごとにストイックになり、全方位でパフォーマンス力を向上させ、そして結束力を揺るぎないものにしていった。だから、3人は現在の自分たちを指して、口をそろえて「w-inds.はいまが一番仲がいい」と言う。こんなダンス&ボーカルユニットは、世界を見渡してもなかなかいないと思う。

そんなw-inds.がたどってきた15年の歴史を余すところなく凝縮したのが、3月13、14日に両国国技館にて開催された「w-inds. 15th Anniversary Live」だった。7月13日に発売されるライブ映像作品には、w-inds.のメジャーデビュー記念日である3月14日の公演の模様が収められている。世間的にはホワイトデーだが、“w-inds.クルー”にとっての3月14日は2001年に1stシングル「Forever Memories」がリリースされた記念日である。両国国技館の中央に(つまり、常設されている相撲の土俵を覆う格好で)設置された上下可動式の巨大な360度円形ステージ。その頭上には同じく円形の照明装置とスクリーンが吊るされており、壮観の舞台装置がw-inds.クルーを出迎えた。

開演とともにスクリーンにはw-inds.の15年がフラッシュバックするようにこれまでのアーティスト写真とジャケット写真、カラフルなモーショングラフィックスが映し出される。会場のボルテージがいきなり最高潮に達したところで、せり上がったステージの紗幕が落とされると、背中を合わせた3人が現れる。その下には生演奏で楽曲を彩るバンドメンバーがいる。そして、1曲目に鳴らされたのは2ndシングル「Feel The Fate」だった。以降、4枚目のシングル「try your emotion」、8枚目のシングル「SUPER LOVER〜I need you tonight〜」と続く。

そう、この日のセットリストは全36作に及ぶシングル楽曲のみで構築された。これもw-inds.が積み重ねてきた15年分の栄光と重みを感じさせる財産である。葉山拓亮のプロデュースによってJ-POPに特化した最初期。そこから海外のトラックメイカーを起用した楽曲で音楽性の振り幅を広げ、慶太を筆頭にメンバー自身が音楽制作に対して積極的になっていった。そんなタイミングでRyosuke Imai率いるTINYVOICE PRODUCTIONと出会い、結果的に時代を先取りするようにエレクトロニックダンスミュージック=EDMに接近した。

そして、近年は“レトロモダン”というキーワードを掲げ制作された『Timeless』以降、コンテンポラリーなブラックミュージックをw-inds.流のポップネスをもって昇華している。最新シングル「Boom Word Up」でも世界のトレンドにいち早く目配せし、90年代のニュージャックスウィングサウンドをアップデイトした。

当然、サウンドの様相が変化すれば、必然的にボーカルアプローチやダンススタイルも変化する。変化を進化と捉え、それを望んだのは他の誰でもないw-inds.の3人である。その進化をw-indsクルーと追体験するために3人はこのアニバーサーリーライブで各楽曲を忠実に再現した。徹頭徹尾じつに贅沢な内容だし、日本のポピュラーミュージック史という観点から見ても、貴重な記録として残るべきライブ映像作品であるといっても過言ではないだろう。もしかしたら、w-inds.は20周年どころか30周年———いや、さらにそこから先の未来であっても音楽エンターテイメントの世界におけるど真ん中に立っているかもしれない。15周年を迎えたw-inds.はそんなことを本気で思わせてくれる、日本が誇るべきダンス&ボーカルユニットである。

文:三宅正一(Q2)

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