ブリティッシュロックを進化させたジュリー・ドリスコール、ブライアン・オーガー&ザ・トリニティの傑作3rdアルバム『ストリートノイズ』
60年代中頃、イギリスから登場したロックグループがアメリカのヒットチャートを席巻し、ブリティッシュ・インベイジョンと呼ばれるムーブメントが巻き起こった。その原点は62年のビートルズのデビューが発端で、彼らの世界的成功によってそれまでR&Bやジャズの世界で活躍していたイギリスのアーティストがこぞってロックの世界に参入し、雨後の筍のように多くのグループが生まれた。ジャズピアニストのブライアン・オーガーもそのひとりで、64年のメロディメーカー誌の読者投票ではジャズピアニストとして「ニュースター」と「ジャズピアノ」の2部門で1位に選出されたにもかかわらず、ジョン・マクラフリン(マハヴィシュヌ・オーケストラ)らとR&B志向のザ・トリニティを結成する。同じ頃、ジミー・スミスやジミー・マッグリフといったアメリカのジャズオルガン奏者に影響を受け、オーガーはピアノからオルガンに転向、ジャズとロックを融合させるべく試行錯誤を続ける。今回紹介する『ストリートノイズ』は、ジャズとロックの融合を成し遂げたジュリー・ドリスコール、ブライアン・オーガー&ザ・トリニティの3作目のアルバム(LP時代は2枚組)であり。後進のプログレやジャズロック・アーティストに影響を与えた知る人ぞ知る傑作である。