スティーブ・ウインウッドの全米1位に輝いた、ソロ作品の中でもっともソウルフルなテイストの『ロール・ウィズ・イット』
僕は事あるごとにスティーブ・ウインウッドは天才だと言いまくっているが、中年以上のロックファンなら当たり前のこととして受け止めてもらえるはずだ。ただ、若い人はウインウッドの名前すら知らないことも少なくないので、残念ではある。スペンサー・デイヴィス・グループ時代も、パワーハウス時代も、トラフィック時代も、ブラインド・フェイス時代も、彼はどんな時でも才能に満ちあふれ、ロックの新しい道を切り開いてきたパイオニアであった。それは、もちろんソロになってからも変わってはいないのだが、尖った部分が後退し、予定調和的な部分も見えなくもなかった。しかし、今回紹介するソロ5作目の『ロール・ウィズ・イット』は彼の原点ともなる黒人音楽を見つめ直し、これまで培ってきたキャリアを再構築したようなグルーブに満ちたアルバムとなった。