ジャズの入門編としても最適なBS&Tの大ヒット作『血と汗と涙』
60年代中期から、アメリカのロック界を牽引してきたアル・クーパー。70年代を見据えて、彼が目を付けたのは管楽器を導入したロックであった。クーパーの呼びかけで集まったのは、ジャズやクラシックの経験者で譜面の読めるミュージシャンたち。68年にリリースされたブラッド・スウェット・アンド・ティアーズのデビュー作『子供は人類の父である(原題:Child Is Father To The Man)』は、文字通りブラスロックというジャンルを確立した画期的な作品となった。この作品以降、シカゴ、チェイスなどのブラスロックグループが次々に現れ、70年代前半のロックを活気付けることになるのだが、クーパーのワンマンさに嫌気がさした他のメンバーが造反、リーダーが追い出されるという皮肉な結果となってしまう。そして、新メンバーのデビッド・クレイトン・トーマスを迎えてリリースしたのが、今回紹介する『血と汗と涙(原題:Blood, Sweat, and Tears)』(‘69)で、本作は翌年のグラミーを受賞(年間最優秀アルバム)するなど、世界的な大ヒットとなった。